歯や骨を硬くするとされるフッ素が、逆に骨をもろくする可能性のあることが、富山大医学部と富山県衛生研究所のグループによる調査で明らかになった。同グループは、「新しいフッ素摂取の基準が必要になる」としている。
関連する調査の結果は27日まで富山市内で開かれた日本公衆衛生学会の総会で発表された。
調査したのは富山大医学部の鏡森定信・教授と、県衛生研究所の新村哲夫・研究員のグループ。1996年から2002年にかけ、2度にわたり中国・内モンゴル自治区で調査を実施した。
新村研究員によると、元々は、骨粗鬆症の治療モデルの研究をする予定だった。乳製品を日常的に摂取し、体も十分に動かしている同地区の草原の女性は、骨粗鬆症が少ないはずという仮定で調査したところ、草原部の女性は、同地区の都市部の女性に比べ、骨密度が10%近く低く、骨が血液中に分解される度合いを示す値も、著しく高かった。
原因を調査したところ、現地の人々が飲む井戸水や、タン茶という独特の茶に、通常よりも多いフッ素が含まれていることを確認した。日本国内の飲料水にはフッ素は含まれないが、同地区の井戸水には3ppm(1リットル当たり1ミリ・グラム)、タン茶には5ppmのフッ素が含まれていた。
一般に、フッ素摂取量は1ppmでは虫歯予防などに効果があるとされるが、10ppmでは、骨硬化症などの副作用が出ることが分かっている。今回の研究では、その中間の摂取量では、骨がもろくなることがわかった。今後、08年までに、骨がもろくなるメカニズムの解明などに当たるという。
新村研究員は「フッ素の摂取に関して、これまでよりも細かい基準が必要になるはず。今後の研究が役に立てば」と話している。