厚生労働省は16日、世帯単位で交付されている健康保険証を、すべて個人単位のカードに切り替えることを決めた。個人単位にすることで受診しやすくするのが目的。健康保険組合など保険運営組織に切り替えを義務付け、平成22年度からの実施を目指す。
厚労省は個人カード化にあたって、QRコード(2次元コード)を印刷するよう、市町村や健康保険組合などの保険運営者に義務付ける方針。診療報酬明細書(レセプト)の記載の誤りによる請求ミスなどをなくし、医療費抑制につなげる狙いもある。健康保険の期限切れなども病院窓口で瞬時に把握できるようにもなるという。
健康保険証の個人カード化は、平成13年に健康保険法施行規則などで定められ、すでに政府管掌健康保険(政管健保)が15年10月から移行するなど一部で導入が進められている。しかし、施行規則では旧来形式の保険証交付も認められているため、切り替えに伴う事務の煩雑さなどから、健康保険組合の約75%、国民健康保険(国保)の約80%が旧来型の世帯単位の保険証を交付している。
世帯単位の保険証は、家族が同時に別々の医療機関で受診しようとする際に分割できず、家族の一部が旅行に出かける場合に携行しづらいなど使い勝手が悪い。保険証を持たずに出先で受診した場合には、かかった医療費の全額を医療機関にいったん支払い、後日精算せざるを得ないケースもある。
QRコードは、縦横2センチほどの正方形の中に、小さい白黒の四角形がモザイク模様のように並んでおり、バーコードの約100倍の情報量が入る。QRコードには、保険証番号や氏名、生年月日、性別などの基本データを書き込む予定で、個人カードに新たに切り替える保険運営組織に対しては、20年度から印刷を義務付ける。
近く厚労省がコード付き保険証カードの標準仕様を作成。まず平成20年度以降に紙からカード型の保険証に切り替える運営者にコード付きにするよう求め、一定期間後はすべての運営者にコード付き保険証しか認めないようにする方針。
医療機関は現在、医療費の請求に使うレセプトを作成する際、患者が提出した保険証の記載内容を転記している。氏名などを誤ったまま請求し、支払い審査過程で加入者を確認できずにレセプトが返却される例が年間約900万件発生している。専用端末でコードに書き込んだ情報を読み取る方式にすれば転記ミスがなくせる。
厚労省は医療機関が医療費を請求する際のレセプトの完全オンライン化も進めている。オンラインの構築後に、保険加入者の登録情報を集積した照会センターを設け、医療機関窓口で読み取ったコードの記載情報とオンラインで照会し、保険証の使用者が保険の加入資格を失効していないかどうか、即時に照会できるようにすることも想定している。
政府は保険証の個人カード化とは別に、医療、年金、介護など社会保障全体をカバーするICカードを創設し、生涯にわたる健診結果を管理する仕組みの検討も進めており、個人カード化は将来的なICカード化のステップにもなりそうだ。