花王は、唾液中の低分子リン酸化たん白質に口内清浄作用があることを確認した。また、併せて糖アルコールのエリスリトールにも同様の作用があることを発見した。これら研究成果を、今月22~23日に横浜で開催された第46回歯科基礎医学会で発表した。
同社はすでに、同知見を応用した歯磨き・洗口液を今月発売している。
同社は、口腔内の衛生状態観察(20~50代男女181人)で、粘つき成分や口臭成分は年齢に比例して増加すること、増加には唾液分泌量の減少が関与していることが示唆されたことを受けて、唾液の口内細菌に対する作用、浄化作用に関与する唾液成分の解析を行った。
その結果、唾液中のスタセリンなど低分子リン酸化たん白質が、歯の表面に細菌が付着するのを抑制したり、細菌同士が結合凝縮した集合体を分散させやすくする浄化作用に関与していることを確認した。
また、併せて20種類以上の口腔適用可能素材を検証した結果、果物やキノコ、ワインなどの発酵食品に含まれている糖アルコール「エリスリトール」に細菌の集合体を分散させやすくする作用があることも発見した。虫歯や口臭の原因となる歯垢を分解しやすくする働きを持つ。
口の中には虫歯につながる病原菌と、いわゆる善玉の細菌などが混在する。こうした細菌が増えて、食べかすなどをエサにして絡み合い、歯につくと、取れにくい歯垢となる。唾液の清浄作用が細菌の増殖を抑えることは知られているが、詳しい仕組みは分かっていないという。
唾液の働きを研究していた花王ヘルスケア研究所の前田晃嗣・室長、矢納義高・主任研究員らは、エリスリトールが唾液と同じように細菌同士の結合をゆるくする働きを持つことを見つけた。
エリスリトールの効果を検証するため、口腔の清掃を24時間しないことで蓄積させた歯垢に対し、10ミリリットルのエリスリトール、キシリトール、ソルビトール各10%水溶液と、イオン交換水それぞれ10ミリリットルを用いて60秒間口をすすぐ実験を20~40代男女10人に行った。
ほお側の上下左右、計16本の歯を対象に、実験前後の歯垢付着面積を比較したところ、エリスリトールが有意に高い歯垢分散率を示した。歯ブラシやうがいの水流程度でも、歯垢がはがれやすくなるような効果が期待できるという。
前田室長は「エリスリトールは、殺菌剤も入れない歯垢内部まで浸透できることを確かめた。細菌同士の結合構造を変化させてゆるめ、ブラッシングなどの小さな圧力で落とせるようになるようだ」と話している。
同社はこれらの知見を応用した歯磨き・洗口液「薬用ピュオーラ」を今月発売し、一連の研究成果を第46回歯科基礎医学会で発表した。また、10月6~8日に大阪で行われる第55回日本口腔衛生学会でも発表する。